エンボディチェアとは
エンボディチェアは有名なアーロンチェアで知られているアメリカの家具メーカーであるハーマンミラー社が2009年に開発した椅子です。また、ロジクールがこのエンボディチェアをベースにゲーミングチェアを発売することも決まり、注目度が高まっています。
実売価格が20万円前後と非常に高価な椅子で、その価格に見合う価値があるか気になる方も多いと思います。4年間ほぼ毎日使って分かった良かったところ・悪かったところを一つずつ書いていこうと思います。疑問点などがあればコメント欄や問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
人それぞれの骨格に合わせたパーソナライズ機能
※詳しい調整方法は公式動画などを見ることをおすすめします。
1. バックフィット
エンボディチェアは人間の背骨の骨格をイメージしたデザインを採用されており、この骨組みが移動することでそれぞれの背中の形を再現します。
体重をある程度掛けた状態でバックフィット調整ダイアルを締めることで、個人個人の背骨の形に合わせて絞られていきます。ダイアルの締め方を調整することで、後傾よりの姿勢に合わせることも可能です。
この機能がエンボディチェアの最大のメリットで、これはアーロンチェアやその他の高級椅子にないユニークな機能です。
2. 座面
座面の長さも調整できます。実測で約45.5㎝から約49.5㎝の間で調整可能です。
アーロンチェアではA・B・Cタイプと体格別に3サイズを用意されていますが、エンボディチェアではこの調整機能を用いて体格に合わせます。
私は、足が疲れている日は座面を長くして足をぶらぶらさせるというような使い方をしたりしています。
3. リクライニング
リクライニングは段階調整と硬さ調整の2つを調整することが可能です。
段階調整はどこまでリクライニングをするかを調整するもので4段階あります。基本的には全くリクライニングしない状態と、最大までリクライニングするの2つだけを使っています。
硬さ調整はこのダイアルでするもので、完全に締めると遊びが一切なくなりますので、前述の段階調整に関係なく全くリクライニングできなくなります。逆に一番緩めると段階調整でリクライニングを全くしない状態に設定しても、遊びが出ますので気になる人は気になるかもしれません。
といっても、エンボディチェアは常に背もたれに体を密着させて使う設計ですので問題になることはないと思います。
4. 肘置き
肘置きのアームは高さと幅の2つを調整することが可能です。
肘置きは約11.5㎝から約24㎝の間で8段階調整することができ、ほとんどのシチュエーションで机との高さを同一にすることが可能です。肘置きを机に合わせた高さにして肘を置くことで、肩の負荷を大幅に減らすことになります。肩こり防止のために肘置きを有効活用しましょう。幅は3㎝ほど広げることができ4段階で調整可能で、シチュエーションに合わせて変更可能です。一番狭い状態にすると細身体型の方でも問題なく使えます。(私も細身なので)
※この機能を使う際は注意が必要です。というのも、体重をかけるとこの腕置きは広がっていってしますので、不意の動作で体重をかけてしまった際に(立ち上がる時など)転倒などの事故につながる可能性があります。
メッシュ座面の素晴らしさ
エンボディチェアではメッシュ素材の座面が採用されていますが、通気性・肌触り・クッション性において素晴らしいものです。
レザーやファブリックは蒸れてしまい汗をかいてしましますが、このメッシュ素材ではそういったことはなく快適に過ごすことができています。肌触りも柔らかい起毛素材に比べたら劣るかもしれませんが、素肌だと痛いということも肌にくっついてくるということもありません。
最後のクッション性ですが、これは正直期待していなかったので、非常に驚かされました。4年間使っていてお尻が痛くなることが一回もありません。複数の衝撃吸収機構で体圧を上手く分散することで、体重が一点に集中することがなく上手にいなしているようです。
最強の保証期間
エンボディチェアには12年間の保証が付帯しています(ガスシリンダーは2年間ですが、今のところ壊れる気配はありません)。他社製品は同価格帯でもここまで長期間の保証がないので、大きな魅力になると思います。
私が購入したのは大塚家具ですが、修理の際に通常は自分で送付用段ボールをメーカー若しくは販売代理店より取り寄せ、自ら梱包して発送しなければいけないが、大塚家具で購入した場合、大塚家具のスタッフが自宅まで取りに行き修理に出してくれるという旨を聞きました。今も同じであるかわかりませんので、購入する際に確認していただければと思います。
デメリット
1. サイズ感
エンボディチェアの最大であり唯一のデメリットはサイズです。
複雑な機構を多数導入したことで、足の幅が直径で70㎝弱、重量が23.5㎏と非常に大きく思い椅子になっています。(引越しの際に)引越し業者の方に申し訳なくなるレベルです。
公式サイトにて3Dモデルが公開されておりますので、購入の前に確認することを強くおすすめします。
2. 軋み音
これまで述べてきたように調整機能が多いと、どうしてもそれに伴う音が出てきてしまいます。最近は当たりがついたのか気にならないレベルになってきましたが、初期は少し体重を移動させただけで座面や背もたれから「ギギッ」と軋み音が鳴っていました。
可動部が多いので諦めないといけない面がありますが、「20万円もするのに安っぽくないか!?」と思われる方もいらっしゃると思います。店頭で試座をする際は音に気を付けて見るとよろしいと思います。
3. 前傾チルト機能が欲しかった
アーロンチェアには前傾姿勢用のチルト機能がありますが、それと同じ機能がエンボディチェアにあれば100%ベストな椅子であったのに・・・と惜しいです。正直なところ前傾チルト機能は大したものではなく、無かったら無いで困らないレベルの機能ですが、あればなぁと思うところです。(アーロンチェアとの差別化のため?)
まとめ
エンボディチェアは他の椅子にない豊富な調整機能を持ち合わせており、デザインや音のことを許容できればベストバイであると考えています。
エンボディチェアにしたことで、以前から悩まされていた腰痛や、長時間座り続けることで生じる疲れがかなり低減されましたので、20万円という値段に見合う利益を享受できました。もちろん、腰痛や肩こりを軽減するためには、椅子だけでなく、モニターアームなどを使ってモニターを適正な高さにしたり、足置きを使って足を地に付けられるようにすることも重要です。
人によって合う合わないはあると思いますし、実際に店頭で試してから購入することをおすすめしますが、エンボディチェアを使うことで良い姿勢をキープすることが楽になることは間違いないです。
エンボディチェアはストレッチをしやすい設計になっています(だからヘッドレストがない)
また、エンボディチェアが高すぎて手が届かないという方も、一度エンボディチェアに座り自分にアジャストしてみることで、他の椅子を選ぶ際に「どういった椅子が自分にとって必要なのか」ということに気付く手がかりになると思います。